2013年度夏学期 陸前高田スタジオ
福祉居住施設の計画を被災年の復興の中で考える
概要
今回のスタジオ課題は、岩手県陸前高田市内で、ある社会福祉法人が所有する土地をどのように利用すれば、今後の同市の居住福祉やまち全体の復興に寄与できるのかについての提案を行うプログラムです。
ここで要請されるのは、単に敷地条件や事業主体の都合だけを考慮に入れた建築単体の計画ではなく、市全体のインフラ、基幹サービス、都市機能の再配置計画といった、まち全体の復興計 画のありかたを同時に考えながら、こうした地域レベル・都市レベルの計画論と呼応した計画です。そのために、スタジオの前半は、社会基盤的、都市工学的な地域・都市レベルの計画条件の学修を主とし、後半にそれを実現するための建築プログラム、地域サービスプログラムのデザイ ンを行ってもらいます。
成果物
A班(暫定)
「結びつく、街と暮らし」
我々はこの敷地を考える前に、新たな復興計画の提案を行った。
世間では復興が進まないと騒がれる中で、復興の現場では暫定の復興マスタープランを元に盛土事業が進んでいる。しかし、生活のための基盤整備にかかる時間を考慮しない復興マスタープランに基づく事業は、市民の生活改善へつながらず、仮設住宅に住む市民は市外移住を決め、陸前高田市を離れていく。
進まない復興と、進んでしまう復興とのギャップを埋めるため、このまとまった敷地を前提にどのような都市設計を構想すべきか。そのための下地・理論的裏付けとしての復興計画を新たに提案し、この敷地の持つポテンシャルを最大限に活かしたいと考えた。
一方で、先の見えない復興プロセスの振幅や、周辺環境の変化、社会構造の変化といったリスクを補うようなプランニングとデザインが求められる。街道結節点のポテンシャルと内部での結びつきが相乗効果を生み、復興を収斂させる一助となることを願い、今回の提案としてまとめた。